映画「FAKE(フェイク)」

FAKE

早稲田大の授業で学生さんから受けた質問の中には、2014年のゴーストライター事件を念頭に、「聴力検査と障がい者手帳はどこまで信憑性があるのか」とか、「配慮はいらない」という障がい者の意見を、難聴者であるご主人はどう思っているのか」という、即答が難しいものがありました。

2回目の授業の前日に、友達を誘って、映画FAKEを見に行きました。私たちは映画館の右横に座ったけれど、多くの人は、真っ正面から真実を見たいという思いからなのか、正面の席は埋まっていました。

ドキュメンタリー映画で、佐村河内さんご本人と奥様の日常生活にカメラが入ります。私は、映画を見るまでは、佐村河内さんは世間を欺いた人なのだと思っていました。しかし、印象が変わりました。そう思うように仕向けられていたと思うのです。容易に流されてしまっていた自分。

映画中盤、海外メディアの取材中、話をさえぎって、休憩を求めてその場を離れる佐村河内さんを見て、「失礼なことを言うつもりはなかったのに・・・」と顔を見合わせて戸惑う取材者の姿がありました。

我が家でも、私が「わからない」「知りたい」と思って発する問いに、夫が黙ってしまうことがよくあります。わざとではなくても、私が「聞こえる人としての発想」しかできないので、夫は、「難聴者を理解してくれると思って結婚したけど、まだまだだな」と思うことがあるそうです。

映画には、佐村河内夫婦のコミュニケーションの様子が出てきます。筆談はしていないけど、対面して、音声、日本語対応手話、指文字でコミをとっていました。

バラエティ番組制作というのは、信念がなく、何をもっておもしろく見せるかしか考えていないという言葉が印象的でした。人をバカにしたり、優越感にひたることによって、自分の劣等感にフタをしたり、自尊心を高めたりして、楽しい気持ちや笑いを生みだそうとしたりするのです。「人の心は陰険で、直らない」と聖書にも書いてあります。本当に楽しくて心から笑うとき、幸せな気持ちになり、笑いが伝染していくものです。

夫が言う面白いコメントに対して、だれかが笑った(ウケた、面白いね)と伝えると、夫はバカにされたと受け取ってしまい、ひとりで落ち込んでいることがあるのです。楽しさを共有できた、うれしい出来事だったと伝えるのにとても時間がかかります。

物が少ない暮らしぶりで、対面型キッチンであること、奥さんが作るハンバーグがとっても大きいこと、飼い猫のまなざし・表情がとってもキュートなこと、奥さんが来客用に買ってくるケーキがとっても大きくてゴージャスなこと、それから佐村河内さんが、豆乳が大好きで、ガラスのコップになみなみ注いで、愛妻の手料理になかなか手をつけないこと、チョコレートケーキの飾りに静かに感動していること、そのようなシーンも好きです。

友達が、「冷蔵庫、どこにあった?」だって。やっぱり主婦だね。

 

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